
こんにちは、あすかです!
今回は先日クリアした『ヒラヒラヒヒル』の感想レビューになります。
ネタバレなしレビューなので浅い感想になってしまうことはご了承ください。
死者が蘇る「風爛症(ふうらんしょう)」という病気が存在する大正時代の日本が舞台の物語ということでプレイ前はファンタジー系なのかなと思っていましたが、その内容は精神病や介護・福祉問題に正面から向き合った社会派なゲームでした。

当然現実にはない病気ですが、それに伴う家族や周りの人間の患者との向き合い方は現実にも存在する問題で、登場人物の感情描写がとにかくリアルに描かれているため、実際に昔にあったことのようなリアルさを感じました。
あっと驚くような展開や先が気になる展開というよりは割と淡々と物語は進行していくので、エンタメとしては若干物足りなく思いましたが、丁寧に描かれる世界観と物語はプレイした人の心に残ることは間違い無いと思います。

もしも自分だったら…と考えざるを得ない重い作品です。
あすかの総合評価 | |
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満足度: | |
ストーリー・キャラ | |
世界観・デザイン | |
システム・UI | |
サウンド・BGM | |
グラフィック | |
ボリューム・やりこみ | |
プレイハード | Steam |
クリア時間 | 10時間 |
ゲームというより小説を読んでいる感覚に近い作品 |
作品概要

開発 | BA-KU |
発売日 | 2023年6月30日 |
価格 | ¥2,970 |
ジャンル | ビジュアルノベル、アドベンチャー |
対応機種 | Steam |
大正時代の日本を舞台としたビジュアルノベルゲームです。
冒頭でも述べた通りゲームというよりは小説に近く、選択肢も結末が変わるレベルの重要な選択肢以外はなく、基本的には黙々と読み進めていくタイプのゲームになっています。

あらすじは公式様より引用させていただきます。
みんな、普通の人間なんだ
死んだ人間が蘇る。
古来よりそうした事例が多発する世界。
蘇った人間は、知性や記憶・認識力が衰え、コミュニケーションが困難となるばかりか、
肉体も代謝が衰え、腐敗していく。
日本では彼らを「ひひる」「クサレ」などと呼び、
かつては崇め、時代とともに忌避するようになっていった。
――やがて「ひひる」は医療の対象とされ、疾病として「風爛症」と名付けられる。
そして大正初期。
医学博士・加鳥周平は風爛症をとりまく環境や制度が諸外国に比べ遅れていることを嘆き、
改善に向けての調査に取り組んでいた。
その調査に参加することとなった青年医師・千種正光。
本来は風爛症と関わるはずのなかった学生・天間武雄。
ふたりの視点を通して、「風爛症」と戦う人々の物語が描かれる――。
https://hirahirahihiru.com/#story
あらすじにあるように本作は医者の千種と学生の天間のダブル主人公で物語は交互に進行していきます。


「死者が蘇る」という部分に注目してしまいがちですが、物語の本質は蘇った後の患者(ひひる)に対する世間の風評や患者の介護問題に周囲の人間がどう向き合うかというテーマに重きが置かれています。
世界観の設定がとにかく丁寧に説明されており、語り口調も硬いため、読み進めるのに結構なカロリーを消費しますが、その分プレイを進めるごとに本作の世界へ没入することが出来ます。

普段から活字読む人は問題ないと思います。
ゲームはいわゆるテキストボックスに二行ぐらいずつ表示される方式ではなく、かまいたちの夜のように画面全体に文字がびっしり書かれるタイプの作品なので、小説などを普段から読み慣れていない人は少し大変かもしれません。

良かったところ
緻密に描かれた世界観
これでもかと丁寧に説明された世界設定は物語に対する納得感が強く感じられます。
死んだ後に蘇った人は人によって程度の差はありますが、皮膚が腐り落ちたり認知症のように周りとのコミュニケーションが困難になってしまいます。

大正時代という昔と現代の狭間のような時代なこともあり、患者に対して見た目や言動から世間から隔離し廃絶しようとしたりする人もいれば、本作の主人公のように「みんな、普通の人間なんだ」という信条で正面から向き合おうとする人もいるなど反応は様々です。

ゲームは基本的に読み進めていくだけのものですが、物語が大きく変わる分岐点で選択肢が発生します。
選択肢は究極的な選択になっているものが多く、もし自分だったらどうするか。。。と本気で悩むぐらいに物語に没入することが出来ました。

登場人物の心情表現と声優さんの演技
登場する人物の感情の動きがリアルで、その人物がそう思ったり行動したりすることに対して説得力があるのでとても感情移入できます。

声優さんの演技も素晴らしく、無言の中の溜め息や唸りからでも何を考えているのか痛々しいぐらいに理解出来るほど心情表現が豊かです。
世界観の丁寧さも相まって、本当にこの時代にこういう人たちが生きていたんだと思わせてくれます。
気になったところ
若干丁寧すぎる説明と淡々と進む物語
世界観の説明は丁寧すぎるぐらい多くされており、かつ物語は淡々と進むので本作にどういうものを求めているかによって感じ方は違うと思いますが、言ってしまえば物語全体の進行は少々地味です。
これは個人的な好みによりますが私は先が気になって仕方ないようなエンタメ性に富んだ作品が好きなので、同じようなタイプの方は多少退屈さを感じてしまうかもしれません。
とはいえ、それだけの説明があってこそ物語への説得力や深みが生まれているので、決して悪い点というわけではありません。

ハラハラドキドキみたいなものを求めると違うかもしれませんね。
まとめ

いかがだったでしょうか!
ノベルゲームのネタバレなし感想レビューとなるとどうしても表面上しか語れないのが残念ですが、社会に対して問題提起をしているようなメッセージ性を強く感じる作品でした。

決してゲームの中だけの話ではなく、現実でも親がもし認知症になったらとか、知り合いが精神的な病気になってしまったらといったような状況を想像せざるを得ない記憶に強く残るゲームでしたね。
個人的にプレイしていて泣くことはありませんでしたが、何年経っても心の隅に残り続けるような気がします。
自分の中の価値観が少し変わる上質な小説を読んだ後のような読後感を与えてくれたので、気になっている方はぜひプレイしてみては如何でしょうか。

ではまた。あすかでした〜!
おまけ
本記事で作成した画像。
大正娘をイメージしたが難易度高くて途中で断念。頭のお花取りたかったのに意地でも頭に花をつけたがるAIに完全敗北
