【ファタモルガーナの館】心を強く揺さぶられた西洋浪漫サスペンスホラー【ネタバレなしレビュー】

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女中あすか

こんにちは、あすかです。

今回は先日クリアしたSwitch版の『ファタモルガーナの館』のクリア後レビュー(ネタバレなし)と感想になります。

まず率直な感想として、ビジュアルノベルの醍醐味をこれでもかと味わわせてくれた大満足の一作でした!

ゲームプレイは基本的に読み進めるだけの古典的な作りで、ゲームというよりは半分は小説に近いような作りです。そのため、分岐などもなくゲーム的な仕掛けは最小限なので、物語そのものに深く没入できました。

本作のキャッチフレーズは悲劇と絶望の西洋浪漫サスペンスホラーノベルというもので、まさに名は体を表すと言えるほど、物語は全編に渡って悲劇と絶望に覆われています。

しかしその中で描かれる美しいイラストや荘厳なBGM、唸らされる数々の驚きの展開は読む手を止められず、数々の悲劇を乗り越えた先にあるカタルシスは圧巻で、ノベルゲームとしての完成度の高さを強く感じられました。

あすか

シナリオ一本で勝負する古き良きノベルの王道
だからこそ強烈に心に残る物語体験でしたね。

あすかの総合評価
満足度:91
ストーリー・キャラ
世界観・デザイン
システム・UI
サウンド・BGM
グラフィック
ボリューム・やりこみ
プレイハードSwitch
クリア時間30時間

本記事ではゲーム内のスクショを含みます。(ネタバレはありません。)

目次

記事を始める前に

すみません、記事に入る前に一つだけどうしても自慢させてください。

本作を遊ぶ際、私はリアルタイムで感想を書き残しながら進めており、先日その記事もアップしていました。

あくまで自分の備忘録用であり、一部Xの相互さん界隈で盛り上がればいいな、くらいの気持ちで書いていたのですが……。

なんと、それが本作のシナリオライターである縹けいか氏に届くという奇跡が起きました!!!

…..はい、ただそれだけの自慢なんですが、個人的にはブログを始めて以来の最大の衝撃でした。まさか自分の書いた記事を開発者の方に読んでいただけるなんて夢にも思いませんでした。

個人の感想がダイレクトに届く、良くも悪くもすごい時代ですよね。

あすか

ゲームブログやってるとこんな奇跡も起こるということで、少しでも興味ある方はゲームブログ始めてみるのおすすめしますよ!(定期勧誘)

作品概要

開発NOVECT
発売日2012年12月31日(Windows)
ジャンルビジュアルノベル
対応機種Nintendo Switch / PlayStation®4 / Steam / Windows

『ファタモルガーナの館』の初リリースは2012年。すでに13年前の作品になりますが、私が今回プレイしたのは2021年3月に発売されたSwitch版です。

本作は名前を知っている人も多いと思いますが、一部界隈では非常に高く評価されているノベルゲームで、私自身も以前からその名は知りつつ中々プレイの機会を逃し続けていました。

その評価の高さを象徴するのが、レビュー集積サイト「Metacritic」において、ビジュアルノベルとしては異例のメタスコア96点を叩き出しています。

歴代29位。評価数が多い作品と単純比較できるものではないにせよそれでもすごい

ゲームとしては冒頭で述べたような非常にオーソドックスなビジュアルノベルとなっているので、ゲーム性というよりも純粋に「シナリオの完成度」が高く評価されている作品です。

あすか

なぜ今プレイする気になってかというと…X一部界隈での突如巻き起こった謎の「ファタモルガーナブーム」に乗っかったからです(笑)

ちなみに『ファタモルガーナの館』には本編外伝現代編という3つのストーリーが存在しており、オススメはそれらすべてが一本にまとまっているSwitch版です。

Steam版は価格が安く手に取りやすい反面、本編と外伝のみで現代編は販売されていません。

全てプレイした上で言いますが、現代編は絶対に遊んだ方がいいシナリオとなっているので、遊ぶならぜひSwitch版を選んで、完全な物語を堪能してほしいと思います。

女中あすか

具体的には言えないけど…この3つの物語はセットのものとして考えてもらいたいです。

これでもかというほどの悲劇の連続

本作の魅力を語るうえで、真っ先に挙げたいのはその悲劇と絶望に塗れたシナリオです。

ネタバレは避けるので物語の概要しか触れませんが、冒頭の導入は以下のようなもの

「あなた」は気づけば、古ぼけた屋敷にいた。

目の前には、「あなた」を旦那さまと慕う、翡翠の目をした女中がいる。

しかし「あなた」には記憶がなく、自分が何者なのか分からない。
そんな「あなた」に、女中は屋敷で起きた数々の悲劇を見せるという。

そこに、「あなた」の痕跡があるかもしれない。
「あなた」は時代と場所を超えた四つの悲劇を目撃する。

これらを物語として終えてしまうのか、あるいはその先を求めるのかは
・・・・・「あなた」次第だ。

このようにゲーム開始直後から、プレイヤーは右も左も分からぬまま、謎多き女中に導かれるように、次々と悲劇的な物語を体験していくことになります。

物語はオムニバス形式で進み、ひとつひとつのエピソードは異なる時代と舞台を背景にしています。

しかし、それらは単に独立した物語ではなく、次第に繋がりを見せていくのですが・・・

あすか

これ以上は語るともうネタバレになっちゃいますね。

また、本作はR指定こそありませんが、悲劇と絶望の名に恥じないレベルの残酷さ救いのなさが容赦なく描かれます。

エロ描写などはありませんが、精神的にえぐられる展開が多いため、最初は「一体なにを見せられているんだ……」という気分になってしまうほどでした。

しかし本作の世界に慣れてくると、途中からは「次はどんな悲劇が待ち受けているのかな?」と逆に楽しみになってしまうような、謎の嗜虐的な中毒性を帯びているのも、本作ならではの体験でした。

あすか

もっと…もっと悲劇を見せろぉォ……

物語後半に待ち受ける怒涛の展開

しかし、本作はただ残酷な悲劇を詰め合わせただけの悪趣味なゲームではありません。

中盤以降になると、それまで積み重ねられてきた謎や伏線が一気に噴き出し、終盤には怒涛の展開がプレイヤーを待ち受けます。

それらは無理矢理なこじつけや矛盾に頼ることなく、美しく整合性を保ったまま物語は畳まれていくので、最後まで夢中でストーリーを駆け抜けることができました。

また、エンディングまで到達して振り返ってみると、どのキャラクターも強く印象に残り、物語の歯車として不要な存在はひとりもいなかったと思います。

持論ですが、物語で本当に“嫌い”になれるキャラクターは、何も残さない無味無臭の人物よりも百倍尊いです

そういう意味で本作は、好悪を含めて“記憶に刻まれる”人物だらけでした。

あすか

アイツとか…。悪役にも魅力ってたしかにあるんですよね。

また、この手のノベルゲームとしては意外なほどのボリュームもありました。

私の場合、本編だけでなく外伝・現代編まで含めて遊び切り、クリアまでにかかった時間はおよそ30時間と、ただ読み進めるだけのゲームとしてはかなり読み応えのある作品でした。

美しいスチルと物語を彩るBGM

本作は絵柄がとても独特で魅力的です。

最初は癖の強い絵柄で、昨今のアニメ調の絵柄にはない力強さに戸惑いましたが、本作の魅力でもある悲劇は、この濃い線と力強いタッチだからこそ伝わる苦しみや迫力があります。

アニメ調の絵柄では伝えきれない、生々しい苦しみや絶望感が独特の画風によって強烈に感じられたのは、とてもよかったです。

あすか

あと単純に美男美女が多くて、目の保養になりますね。

音楽もまた本作の大きな魅力です。特に印象的なのは、楽曲の多くにポルトガル語の歌が取り入れられている点です。

ゲーム音楽としては珍しいほど歌が前面に出ており、ともすれば「主張が強すぎるのでは」と思えるほどでしたが、実際にプレイしてみると各シーンにとてもマッチしており、むしろ作品世界を強く引き立ててくれていました。

もちろんサントラも購入済みです。

「BGMに歌を入れる」という発想は、ゲーム制作の段階からあったとインタビューで述べられており、結果として『ファタモルガーナの館』の大きな魅力のひとつになっていたと思います。

まとめ

女中あすか

いかがだったでしょうか!

ノベルゲームはどうしてもネタバレを避けると薄味な感想になりがちですが、それでも少しでも『ファタモルガーナの館』の魅力が伝わってくれれば嬉しいです。

今回はプレイ記録をつけながら遊んだり、それを作者の縹けいか氏に読んでいただけたりと、ゲーム外でも思い出深い体験をすることができた、私にとっても特別な一本になりました。

13年前の作品でありながら、今なお古臭さをまったく感じさせず、唯一無二の魅力が詰まった作品でもあるので、初見の方でも新作を遊ぶような新鮮さで楽しめると思います。

少しでも興味を持った方は、ぜひこの「悲劇と絶望に彩られた物語」がどういう結末を迎えるのか、その目で見届けてみてください!

あすか

ではまた、あすかでした〜!

おまけ

今回生成したあすかちゃん。AIでは表現しきれない魅力がジゼルには詰まっていると痛感

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